クレイジーエッセイ?きれいなシワの作り方~淑女の思春期物語
きれいなシワの作り方~淑女の思春期物語/村田沙耶香
読みやすさ ★★★★★
読後感 😮❓
『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんのエッセイ集です。
村田さんは作家として活躍する一方で今もコンビニのアルバイトをされています。
それも生活のためではなく、
コンビニバイトが好きだからという理由のようです。
受賞会見やメディアで村田さんを観られてる方は
ちょっと変わった人だなぁ~
くらいの印象をお持ちでしょうか?
そんなものじゃないんです。
『コンビニ人間』の世界と同じで、
村田さんという人は不思議な魅力でいっぱい詰まっています。
自意識のかたまり
自意識とは言ってもおごり高ぶったものではありません。
村田さんはとにかく自分に自身がない方です。
パンチラに気をつけるのもおばさんのパンツで見られてしまった相手が気分を害するといけないからという自信のなさ。
ブランド物のバックを買っても、ブランドに疎い自分なんかが持っている友達に3年間も隠してしまうマイナス思考。
コンビニアルバイトでの同僚の仕事に尊敬を抱いたり。
などなど…
芥川賞を取ってしまうような大物作家さんなのに、です。
へんてこな視点
作家仲間から“クレイジー沙耶香”と呼ばれ、誰もが認める変わり者です。
殺人のシーンを書くのが喜び
よく抱きつかれる
自分の年齢を間違える
こんな村田さんだからこそ生まれるエピソードがあります。
「でさ、結局、村田さんたちと結婚したとしてさ、男側のメリットって何かあるわけ?」
この質問は私だけではなく、その場にいた女性全員に向けられたものだったのだが、一瞬場が静まり返った。
「基本的にはない……けど、あえて言うなら……」というネガティブな前置き付きで、一人の子が答えた。「料理が好きだから、今までより健康に良い食事ができるんじゃないかな……」。他の子は、「子供を産んであげられることかな……年齢が間に合えば……」と言った。
「で、村田さんは?」と聞かれ、私の返事は、「相手が死んでたら気付く……」だった。
きれいなシワの作り方~淑女の思春期物語 メリットがない女より引用
「死んでたら気付く……」
恐らくその男性の失礼な質問に腹立てる訳でもなく、
真剣に答えたのが「死んでたら気付けます」なのです。
そりゃあ周りも驚きますよね。
読んで不思議。
でもとんでもなく愛らしい村田さんの魅力が詰まったエッセイです。
あなたも個性的な感性と無邪気な可愛らしさの虜になることでしょう。
内容紹介
思春期なんてとっくに卒業……と思いきや! ? 追いかけてくる自意識の罠。
あぁ、こんな大人になるはずだったのだろうか?そんな悶々とした気持ちの吐露に共感必至。
自分だけじゃなかったという安心感、ななめ過ぎる視点に大笑い、
でも減り続ける友だちを思う気持ちにほろりとしたりと、
七色の感動が込められた珠玉のエッセイ集。
気になるテーマは、・初めての結婚願望 ・大人のパンチラ考 ・おひとりさまの年末年始
・謙遜をサボる女 ・大人の恥ずかしいゴミ ・紫外線と女の本気
・ちゃんとおばさんする ・鞄がもげる夏
・「着ない服」愛好会 ・おろおろインターネット 他。
読んだら誰かに話したくなる!
内容(「BOOK」データベースより)思春期なんてとっくに卒業…と思いきや!?追いかけてくる自意識の罠。思わず吹き出す滑稽な視点と身をよじりたくなる共感の嵐がつめこまれた、三島賞作家による抱腹絶倒エッセイ集!